日本の原風景とも言える美しい棚田。その中でも特に有名なのが、和歌山県有田川町に位置する「あらぎ島」です。
まるで扇を広げたような優美な曲線を描く棚田は、四季折々の姿で訪れる人々を魅了しています。近年では、SNSを中心に写真愛好家の間での人気も高く、全国から多くの観光客が足を運ぶ人気スポットとなっています。
この記事では、あらぎ島の魅力や歴史、アクセス方法、ベストシーズン、周辺スポットまで、訪問前に知っておきたい情報を網羅的に解説します。
あらぎ島とは?魅力と見どころを徹底解説
あらぎ島は、和歌山県の中央部にある有田川町清水に位置する、日本有数の棚田風景です。国道480号線沿いから見下ろす形で眺めるその風景は、田んぼが扇状に広がる独特の形状が特徴で、「まるで島のように見える」ことから「あらぎ島」と呼ばれるようになりました。
その美しさから「日本の棚田百選」にも選ばれ、環境省の「重要文化的景観」にも指定されています。観光地としての知名度も高まり、自然風景や農業の営みの美しさを感じる絶好の場所となっています。

あらぎ島の基本情報と歴史的背景
あらぎ島の起源は、江戸時代初期にまでさかのぼります。元々は有田川の河川敷にあった三角州に築かれた棚田で、扇のような地形を生かしながら長年にわたり地域住民が手をかけて守り続けてきた場所です。
江戸期には、干ばつや洪水との戦いの中で効率的に水を引き、作物を育てるための知恵としてこの地形が選ばれました。約370年以上も変わらず営まれてきた農業の姿がそのまま残っているのが特徴です。
この歴史的背景から、地域住民の努力と知恵、そして自然との共存が育んできた景観として高く評価され、2013年には国の「重要文化的景観」にも指定されました。
重要文化的景観に選ばれた理由と見どころ
あらぎ島が「蘭島及び三田・清水の農山村景観」が国の重要文化的景観に選ばれた理由には次のことがあげられます。
- 1. 歴史的背景と文化的価値
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あらぎ島は、江戸時代初期に開発が始まり、特に大庄屋の笠松佐太夫によって新田開発が進められました。この地域の農業は長い歴史を持ち、地域住民の生活や文化が深く根付いています。開発の歴史は文書によっても確認されており、1655年にさかのぼることができます。
- 2. 自然環境と景観の一体性
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「蘭島及び三田・清水の農山村景観」は、棚田や集落景観、里山景観が一体となって形成されています。これらの景観は、自然地形に沿って作られ、強い一体性を持っています。特に、扇形の棚田は独特の美しさを持ち、四季折々の変化が楽しめることから、観光名所としても知られています。
- 3. 地域住民の保全活動
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地域住民による自主的な保全活動が行われており、農業と観光が共存する形でこの景観が守られています。農業の継続は、地域の文化や生業を次世代に伝える重要な要素となっています。
- 4. 生物多様性と環境の保護
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この地域は、貴重な動植物が生育する豊かな自然環境を有しており、地域の環境を活かした生業が行われています。これにより、自然と人間の共生が実現されており、文化的景観としての価値が高まっています。
季節ごとに変わる風景の魅力(春夏秋冬)
あらぎ島の魅力は、四季ごとにまったく異なる風景が楽しめる点にあります。以下、季節別に見どころをご紹介します。
- 初夏の田植え直前
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田植え前の準備が進み、棚田に水が張られて鏡のように空を映す風景は圧巻。カメラ愛好家の間では「水鏡の季節」として知られています。
引用元:あらぎ島/有田川町 - 夏(6月〜8月)
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稲が青々と育ち、緑のグラデーションが見事。早朝には朝靄がかかり、幻想的な風景が広がります。
引用元:あらぎ島/有田川町 - 秋(9月〜10月)
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稲穂が黄金色に染まり、収穫の風景とともに力強い農業の営みが感じられる季節。夕方には棚田全体がオレンジに染まります。
引用元:あらぎ島/有田川町 - 冬(12月〜2月)
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雪が積もると、棚田が白銀の階段のように変わり、静寂で神秘的な景色が広がります。雪化粧したあらぎ島はまた別の表情を見せてくれます。常に雪が降る地域ではないので、タイミングが図らないとみることは難しく、かなりレアな光景でもあります。
引用元:あらぎ島/有田川町
どの季節も魅力的ですが、特に写真映えを狙うなら「春の水張り」や「秋の稲穂」が人気です。
あらぎ島へのアクセスと周辺情報【行き方・駐車場・観光マップ】
あらぎ島は和歌山県の山間部に位置しているため、アクセスには事前準備が必要です。とはいえ、きちんと調べていけばスムーズに到着できます。
車・電車・バスでの行き方と所要時間
- クルマの場合
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大阪方面からは、阪和自動車道を使い、有田ICで下車。そこからは国道424号・480号を使って約40〜50分程度で到着します。
- バスの場合
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JRきのくに線「藤並駅」から有田川鉄道バス「清水行き」または「花園行き」に乗車。
※本数がかなり少ないので注意 -
公共交通機関での移動は不便なため、レンタカー利用がおすすめです。藤並駅前や和歌山市内でレンタル可能です。
展望スポットへの駐車場
あらぎ島の展望スポットの最寄りには専用の無料駐車場がありますので、ぜひご利用ください。
駐車場から展望所までは徒歩5分程度です。
周辺の食事・宿泊スポット
あらぎ島を訪れるなら、観光後の食事や宿泊施設もあらかじめチェックしておきましょう。地元ならではの味や、ゆっくり過ごせる温泉施設など、旅をより豊かにしてくれるスポットをご紹介します。
食事処・カフェ
あらぎ島周辺には観光地としての飲食店は少ないですが、個性のある食事がそろっています。
- わさび寿司 赤玉
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清水の郷土料理の「わさび寿司」は、わさびの葉でサバや鮎のお寿司を巻いた料理です。ピリッとした刺激と優しい味のハーモニーが抜群!周辺の道の駅や物産店でも購入可能です。
店舗名 赤玉(あかだま) 住所 和歌山県有田郡有田川町清水337‑1 営業時間 【昼】11:00〜13:30(L.O.13:30)
【夜】17:00〜21:00(L.O.21:00)
※第2・第4木曜はランチのみ営業定休日 水曜日(祝日の場合は営業、翌日休)、第1・第3木曜日 公式サイト https://akadama‑wakayama.com/ Instagram @akadama_wakayama - 道の駅 あらぎの里
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道の駅あらぎの里は、国道480号沿いの「あらぎ島」のすぐ手前にあります。中にはレストランもあり、地元の新鮮な食材を使用した料理が楽しめます。特に、自家製のこんにゃくを使った「こんにゃくうどん」が人気です。
赤玉のわさび寿司や、日本一の生産量を誇る清水のぶどう山椒もイチオシです。
店舗名 道の駅 あらぎの里 住所 和歌山県有田郡有田川町三田664‑1 営業時間 【直売所・物販】
・3月~10月:10:00〜17:30
・11月~2月:10:00〜17:00
【飲食コーナー】
・約11:00〜16:30(L.O.)定休日 毎週火曜日(祝日の場合は営業し翌日休)
年末年始(1週間程度)公式サイト等 ・有田川町公式観光ページ
・近畿「道の駅」連絡会クリエイトページ(最新更新あり) - kado
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あらぎ島の駐車場前に位置する喫茶店「kado」は、和歌山県有田川町にある古民家を改装したカフェです。
このカフェは、特に山椒を使ったメニューが人気で、特に山椒ソフトクリームが有名です。店内では、山椒を使った様々な商品も販売されています
店舗名 kado(カド) 住所 和歌山県有田郡有田川町三田453‑1 営業時間 【夏時間】10:00~18:00
【冬時間】10:00~16:00
※季節により変更あり定休日 水曜日(祝日の場合は営業) 電話番号 090‑1488‑9911 公式サイト kado‑sanshou.com Instagram @kado_hatsumi
しみず温泉

清水温泉は、地下400メートルから湧き出る天然温泉です。
この温泉は、弱アルカリ性のナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉であり、肌を滑らかにする効果があることから「美人の湯」としても知られています
所在地 | 和歌山県有田郡有田川町清水1225-1 |
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営業時間 | 11:00〜20:00(最終受付19:30) |
定休日 | 毎週木曜日 |
入浴料金 | 大人1,000円、小人500円(4歳以上)、4歳未満は無料 |
駐車場 | 50台分の駐車スペースあり |
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