貴志川線は和歌山県和歌山市と紀の川市を結ぶローカル線で、地域の交通手段としてだけでなく、観光スポットとしても注目されています。
この路線は、特にたま駅長の存在で全国的に有名になり、多くの観光客が訪れるようになりました。
ここでは、貴志川線の歴史や運行状況、特徴的な車両について詳しくご紹介します。
貴志川線の概要
JR和歌山駅の9番ホームを出発し、長閑な田園風景を電車に揺られて30分、終点の貴志駅まで14.3kmを結びます。
沿線には日前宮(日前神宮・國懸神宮)、竈山神社、伊太祁曽神社の3神社が鎮座し、その3社を参拝する「三社参り」の足として誕生したと言われています。
運営会社の変遷
貴志川線は山東軽便鉄道として1916年に開業し、1931年には和歌山鉄道に社名を改め、1943年には和歌山電気軌道、そして1961年に南海電気鉄道貴志川線となりました。
しかし、年々利用者が減少し、経営難から一時は廃止の危機に瀕しました。南海電鉄が撤退を表明したものの、2006年には和歌山電鐵が運行を引き継ぎ、地域の特色を活かした運行が始まりました。
この転換を機に、貴志川線は新たな魅力を発信していくことになりました。
現在の運行状況
貴志川線は現在、和歌山駅から貴志駅までを結ぶ約14.3kmの路線として運行されています。
日中は約30分間隔で運行されており、通勤・通学だけでなく観光客にも利用されています。有人駅は「和歌山駅」、「伊太祁曽駅」、「貴志駅」の3つしかありませんが、各駅には地域の特色を生かした装飾や設備が施され、訪れる人々を楽しませています。
貴志川線の駅一覧と時刻表
時刻表については、貴志川線のホームページに記載されているものをご参照ください。
貴志川線の乗車料金
乗車運賃は、190円〜410円で乗車区間の距離なよって変動します(子供は100円〜210円)。
1日に何回も乗るなら、「1日乗車券」が便利。410円区間(例:和歌山~西山口、甘露寺、貴志)なら、往復するだけでもお得です。
一日乗車券の値段・購入場所
- 料金
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- 大人:800円
- 子ども:400円
- 販売場所
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- 和歌山駅 9番ホーム窓口
- 伊太祈曽駅 窓口
- 貴志駅 たまカフェ・たまショップ
- 和歌山バス JR和歌山駅定期券発売所
たま駅長について
たま駅長は、貴志川線の象徴とも言える存在です。その可愛らしさで多くの観光客を魅了してきました。たま駅長の誕生から現在までの歴史と影響について詳しく見ていきましょう。
たま駅長の誕生と役割
たま駅長は2007年に貴志駅の駅長に任命された猫で、その愛らしい姿で全国的に注目を集めました。
たま駅長が誕生した背景には、貴志駅の売店で飼われていた猫「たま」を駅長に任命することで、地域の活性化を図る狙いがありました。
この斬新なアイデアは大成功を収め、貴志川線を日本全国に知らしめるきっかけとなりました。
たま駅長の任務と日常
たま駅長の主な任務は、駅舎内で訪れる人々を迎えることでした。訪れた観光客はたま駅長とのふれあいを楽しみ、写真を撮るために列を作るほどの人気ぶりでした。
たま駅長の影響は、単なるマスコットキャラクターに留まらず、地域全体に大きな経済効果をもたらしました。
たま駅長の影響と功績
観光客への影響
たま駅長の存在により、年間30万人以上の観光客が貴志川線を訪れるようになりました。これは地域経済にとって大きなプラスとなり、観光業の活性化に寄与しました。
たま駅長の姿を見ようと訪れる人々は、地元の飲食店や宿泊施設を利用し、地域全体の経済活動を活発にしました。
地域活性化への貢献
たま駅長の成功は、地域活性化の一環として大きな成果を上げました。
駅周辺の商店や観光地もたま駅長の人気に便乗し、特産品やお土産の販売を強化しました。特に、たま駅長をテーマにしたグッズやイベントは多くの人々を引き寄せ、地域経済に大きく貢献しました。
たま駅長を継いだにゃんこたち
たま駅長の引退後、二代目駅長として「にたま」が就任しました。
にたまもその愛らしい姿で多くの観光客を魅了し、たま駅長の伝統を受け継ぎました。さらに、三代目駅長として「よんたま」が活動を続けており、現在も訪れる人々を迎え入れています。
現在の駅長の活動
現在、貴志駅には「にたま」が、伊太祁曽駅には「よんたま」がシンボルとして活躍中です。にたまがお休みの日はよんたまが貴志駅に勤務します。
駅長は訪れる観光客とのふれあいを大切にし、地域の魅力を発信し続けています。駅舎内には、たま駅長の歴史を紹介する展示もあり、訪れる人々に貴志川線の魅力を伝えています。
駅長の勤務日 | ||
---|---|---|
にたま | よんたま | |
月曜 | 貴志 | 休 |
火曜 | 貴志 | 伊太祁曽 |
水曜 | 休 | 貴志 |
木曜 | 休 | 貴志 |
金曜 | 貴志 | 休 |
土曜 | 貴志 | 伊太祁曽 |
日曜 | 貴志 | 伊太祁曽 |
貴志川線を走る車両の特徴
貴志川線には、特徴的なデザインを持つ車両がいくつかあります。
これらの車両は、観光客にとっても魅力的な要素の一つであり、貴志川線を楽しむための重要なポイントです。ここでは、各車両の特徴と設備について詳しく紹介します。
たま電車
「たま電車」は、たま駅長をモチーフにデザインされた可愛らしい車両です。
外観にはたまのイラストが描かれ、車内も猫をテーマにした装飾が施されています。座席や内装には、たまの足跡や顔のデザインが随所に散りばめられており、乗客はまるでたまと一緒に旅をしているかのような気分を味わえます。
いちご電車
和歌山の特産品であるいちごをテーマにした「いちご電車」は、赤と白を基調としたデザインが特徴です。
車内にはいちごの装飾が施され、シートやカーテンにもいちごの模様が描かれています。車両全体がいちごの香りで包まれているかのような雰囲気を演出し、乗客に和歌山の特産品の魅力を伝えます。
うめ星電車
「うめ星電車」は、和歌山の梅をテーマにした車両です。
梅の花をモチーフにしたデザインが外観を彩り、車内には梅に関する装飾がされています。乗客は和歌山の文化と自然を体感できます。
チャギントン電車
子供たちに大人気のアニメ「チャギントン」とのコラボレーションで生まれた「チャギントン電車」は、キャラクターのウィルソンとブルースターが描かれた楽しい車両です。
車内にはチャギントンの世界観が広がり、キャラクターたちと一緒に旅をする感覚を味わえます。子供連れの家族にとって、忘れられない思い出になることでしょう。
たま電車ミュージアム号
「たま電車ミュージアム号」は、初代たま駅長の歴史や功績を紹介する特別な車両です。
車内にはたま駅長に関する写真や展示があり、乗客は様々な歴史上の人物に扮したたまの物語を楽しむことができます。たま駅長の偉大な足跡を振り返りながら、貴志川線の旅をより一層楽しめる内容となっています。
沿線のおすすめスポット
貴志川線で巡る旅で、ぜひ立ち寄って欲しい観光スポットについても紹介します。
神社(西国三社参り)
貴志川線沿線には、西国三社参りとして知られる3つの重要な神社があります。もともと貴志川線はこの3つの神社に参るたまに作られたと言われています。それぞれの神社は歴史と伝統に満ちており、多くの参拝者が訪れる名所です。
伊太祁曽神社
伊太祁曽神社は紀伊国一宮であり、日本に樹木を植えて廻ったと 『日本書紀』 に記される 「五十猛命(いたけるのみこと)」 を祀る神社です。 植樹神五十猛命は一般には「木の神様」として慕われています。
- 最寄駅
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伊太祁曽駅
- アクセス
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伊太祁曽駅から徒歩約5分
日前宮(日前神宮・國懸神宮)
日前宮は紀伊國一之宮にして天照大御神を奉祀しております。1つの境内に日前神宮・國懸神宮の2つの神社があり、総称して日前宮(にちぜんぐう)と呼ばれています。日前宮は古くから「良縁」「結婚」の御神徳があり、人と人との出逢いを結ぶご利益があります。
- 最寄駅
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日前宮駅
- アクセス
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日前宮駅から徒歩約5分
竈山神社
神武天皇の長兄である彦五瀬命を祀る神社です。 本殿後ろにある竈山墓は和歌山県唯一の陵墓で、その側に竈山神社が建てられたとされています。 ご利益は五穀豊穣、縁結び、安産です。
- 最寄駅
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竈山駅
- アクセス
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竈山駅から徒歩約15分
道の駅「四季の郷公園 FOOD HUNTER PARK」
四季の郷公園FOOD HUNTER PARKは、地元の新鮮な食材を楽しめる和歌山市唯一の道の駅です。
広大な敷地内には農産物直売所やレストランがあり、和歌山の旬の味覚を堪能することができます。手ぶらでバーベキューができ、巨大なトマホークステーキが人気です。
また、公園内には自然豊かな散策コースや子供向けの遊具も充実しており、家族連れにも最適なスポットです。特に週末には多くのイベントが開催されます。
- 最寄駅
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伊太祁曽駅
- アクセス
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伊太祁曽駅からレンタルサイクルで約10分
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